少女漫画を乙女として読む
漫画が好きである。
両親共によく漫画を読む人だった影響か、ジャンルを問わず読む。
当然、少女漫画も読む。
初めて読んだ少女漫画は母親が友達から借りてきた「ときめきトゥナイト」だった。
あれはいい。古典的少女漫画表現のオンパレード、古き良き少女漫画だ。
気になる彼の家の浴槽に潜って隠れる、こんなにもラブコメディなことがありますか?
その他もやはり母親の影響で色々読んだ。
「ハチミツとクローバー」、「ぼくの地球を守って」、「動物のお医者さん」などなど、いろんな名作に触れさせてもらった、ありがとう母ちゃん。
少女漫画にもいろいろあるが、やはり醍醐味は恋愛である。
僕は特に「ときめきトゥナイト」や「君に届け」みたいな純愛ものが大好きだ。
基本的にヒロインと彼が一対一の少女漫画がいい。わたしと彼とその他、の構図がいちばんいい。
それはなぜか。
僕は、少女漫画を読むときに乙女として読んでいるからである。
もちろん僕は男である。成人男性だ。妻もいる。汗っかきだ。最近太ったとよく言われる。
しかしそれがなんだというのだ。
少女漫画は女の子に向けられた作品だ、それなら女の子として読まなければならない。自称生粋の漫画読みとして当然の心構えではないか!
例えば「君に届け」を読むとき、僕はヒロインの黒沼爽子となる。
なので、風早くんに「くろぬまっ!」と声をかけられると「えっ…わ、わたしなんかに声かけてくれる…♡」と赤面するし、あの爽やかな笑顔を向けられただけで「かぜはやくぅん…しゅき♡♡」って目がハートになっちゃう。
風早くんが出てくるといい匂いがする気すらする。
風早くんは、マジでやばい。
あーまずい、「君に届け」読み直したい。風早くんに会いたい。あたしだけ見て笑ってほしい。
さて、僕が少女漫画を読むとき、純愛ものじゃないとうまく感情移入ができないのはなぜなのか。
主人公は彼ひとりのことをまっすぐ好きでなければ我慢ならない。
それは僕の中のなりたい乙女像がそういう女の子だからだと思う。
いい感じの男の子が複数いて、ヒロインが揺れ動く…的なストーリーだとイマイチ乗れないのた。なんとなくさめてしまう。
あたしは、フラフラどの男に行くか迷うようなアバズレじゃないから。
いつだって風早くんだけをみてる、そういうまっすぐで芯のある女なの。
ちょっと引っ込み思案だけど、なかなか勇気が出ないけど、この気持ちだけは本物なんだからっ!!
しかし、他のジャンルの漫画を読むときはここまで主人公に憑依していない気がする。
登場人物の姿勢や発言に感動することは当然あるが、もっと俯瞰でストーリーを追っている。
もしかすると、僕は恋愛モノの少女漫画を読むとき
「漫画を楽しみたい」
より
「乙女になってドキドキしたい♡♡♡」
の気持ちが勝っているのかもしれない。
これは僕だけの読み方なのだろうか?
少女漫画を読む他の男性は、どの視点で読んでいるのか気になる。
男性諸君、あなたも乙女になってるんだよね?風早くんのこと、好きなんだよね??
恥ずかしがらずに教えてほしい。
でもあたし、負けないから。
逆に考えて、女性が少年向けのラブコメを読むときはどうなのだろう。
「めぞん一刻」を読む女性は、五代くんに感情移入しながら響子さんに振り回されているのだろうか?
「ToLOVEる」を愛読している女性は、階段でぶつかってなぜか自分の顔の上に乗っかったお尻に興奮しているのだろうか?
僕が乙女になって風早くんに壁ドンされたいように、女性も間抜けな男になって足を滑らせ、おっぱいに顔をうずめたいのだろうか?
どうなんでしょうか?